メルセデスの113M55「通称V8コンプレッサー」エンジンのプーリーメンテナンスを行いました
このエンジン、スーパーチャージャーが付いてるためメンテナンスを怠ると膨大な出費に見舞われます。
そこでウイークポイントとされるプーリーベアリングのグリスアップを行いました
使用する「チキソグリス」は航空機産業でも高い評価を受け、ボーイング社や英国航空部隊のヘリコプター指定グリスでもあります。
また常に最新技術が追及される軍事産業でもNATOの軍公式認定潤滑剤になってます。
早速取り外しにかかります。左からダブルプーリー、スーパーチャージャーのテンショナー、アイドラプーリー、エンジン側のテンショナー、同時にスーパーチャージャープーリーも作業しますが後述します。
はじめにCリングをスナップリングプライヤーで外します。
次にラバーシールを開封します。適当な工具がなかったため「千枚通し」を加工したお手製のシールめくりで対応
ラバーシールの隙間に先端を引っ掛けテコの原理でめくるように外します。またシールめくりをひっかける場所はラバーシールの外側が鉄則だそうです。
なぜなら内側は回転軸とのクリアランスに微妙な制度が求められ、変形させると摩擦抵抗になるそうです。
ラバーシールを外した状態。本来粘り気のあるグリスが劣化し油カスの様に固まってます。
古いグリスはブレーキクリーナーで念入りに洗浄。またクリーナーを使うと温度差で内部に水滴が溜まるためエアブローで乾燥させます。
洗浄が終わったらチキソグリスを注入。入れ過ぎはグリス漏れの原因になるため容量の4割程度がベストだそうです。
注入が終わったらラバーシールを戻し残りのプーリーも同じ工程で作業を行います。
グリスアップ終了。ついでに表面の汚れも洗浄したので見た目もすっきりしました
そして最大の目的がこのスーパーチャージャープーリーのグリスアップです。なぜならこのパーツが壊れると部品代だけで29万円もするからです。
しかしこのプーリーは特殊工具がないため脱着なしでの作業となりました
ラバーシールを外した状態。こちらもグリスが固まってます。
ここまで来たら手慣れたものです。洗浄後シリンジを使いチキソグリスを注入
ただベアリングは2列に並んでるため奥側はシリンジに細いチューブを付けて注入します。
最後にスーパーチャージャーオイルもモービル・ジェットオイルにて交換。そしてプーリーを元に戻しベルトを掛ければ作業終了です。
さてさて見事リフレッシュ出来たのでストレスも解消された事でしょう 。ただ本来ベアリングは分解するパーツでないため作業は自己責任にてお願いします。